協生農法マニュアルを読み解く「1-4 管理条件」

はじめに

すずなり農園代表の松尾です。

協生農法マニュアルを勉強しながらまとめています。

協生農法の生産性はべき乗分布に基づくため、株式投資などと同じようにポートフォリオ管理が可能です。

今回は協生農法の管理条件についてです。協生農園をどのように管理しなければならないかの条件です。

ついつい、手を下したくなるのを我慢して、生態系の力を信じる心が必要となってきます。

参照元:協性農法マニュアル

種と苗のみ

協生農法では、圃場内に人が持ち込んでいいのは、原則として種と苗のみです。

自然農法でよく使う腐葉土や、木酢液などの自然由来の害虫忌避材でさえ持ち込んではいけません。

ただし、最初の畝立て時に行う土壌改良時は、土壌構造形成を阻害しない範囲で指定されたものに関しては、導入して良いことになっています。

ただし、これらの導入物の影響が完全に消えてから初めて、協生農法と認定されることができます。

  • 海水を100倍に薄めて撒く
  • 海藻や魚のアラを粉砕して撒く
  • 近所で生育した、農薬のかかってない草や落ち葉を地表に積む

初期施行以降は、種と苗以外は持ち込んではいけません。昆虫や鳥やカエルなどの動物が持ち込んでくれるように、圃場を管理する必要があります。

例えば、鳥の休憩所になるような低木を植えるとか、昆虫の住処となるような植物を植えるとかです。

人間が行うことは、収穫・草の管理・種苗の定植だけです。草の管理に関しては、基本的には多年草は除去し、一年草は残します。

一年草の根っこは枯れて土となり、さらに根っこの跡が微生物のための通気孔となります。一方、多年草は枯れないので根っこがどんどん伸びていき土が固く締まってしまいます。でも、多年草も生物多様性の一端を担っているため、一年草と異なる側面で活用可能です。

活用の仕方は、以下の野人エッセイすブログを参考にしましょう。

『多年草の仕組み 1』
多年草 ヤマウド農業の常識では土壌作りから入り野菜を作るが、土壌は人が作るものではないし出来るものでもない。植物が中心になって多くの生き物達が作るものだ。人…

ひとことで言うと、多年草野菜をもって多年草を制すという事だそうです。

水やり

基本的に水はあげません。あげるのは、苗の定植時・種の発芽後・深刻な干ばつがきた時だけです。

水やりの水は、水道水だと塩素で微生物が死ぬのと、ミネラルがあまり含まれてないため、井戸水や雨水の方が良いです。

水はあげなくても、地下から上がってきます。特に満月の夜は、月の引力で地下水が吸い上げられます。なので、種まきは満月にするといいということになっています。

あとは、草マルチをしていると、朝露や夜露がその草マルチに付着して、土の上への水の供給源となります。

水をやりすぎると、根っこは水を求めて頑張って伸びるのみやめてしまうため、根性のない植物になります。その結果、病気になりやすくなります。

水をあげすぎると、野菜の細胞が水ぶくれします。一見大きな立派な野菜でも、フライパンで炒めると小さくなってしまうのはこれが原因だと思ってます。大きくなっても細胞数はかわらないそうです。

育苗

育苗をポットで行う場合には、水やりとある程度の肥料が必要です。ただ、その時に使った肥料が持ち込まれると、協生農法の制約条件に抵触してしまいます。

定植の際は、なるべく肥料を持ち込まないようにします。

ホームセンター等で購入した苗は、その点で問題がありません。必要最低限の栄養しか与えられていないため、定植してもすぐに雨に流されて、流された肥料は少量のため問題ない範囲で土壌により処理されます。

ただし、化学肥料で育った苗は弱っちいので、虫の餌食になる確率も高まると思います。

全体の畑の土割合に対してのポットの大きさはとても小さいので、そこまで神経質にならなくていいとは思いますが、農薬コーティングされた種は、圃場に農薬を持ち込んでしまうので、使いたくないです。

まとめ

生物多様性や生態系機能が、シグモイドの飽和局面に達した後に、人が協生農法の圃場で行う管理は、収穫、草の管理、種苗の定植のみです。

一般的な慣行農法で必要な、耕起、追肥、水やり、農薬散布などは全く不要です。

協生農法では混成密生が基本で、大きくなったものを間引き収穫します。収穫した植物の周りの状態を見て、大きくなりそうなものがあればそのまま、なければそこに種を撒くか苗を植えます。

あとのことは全て、鳥や虫や微生物がやってくれます。人は土も作れないし植物も作り出せません。生態系機能をうまく管理して、有用野菜が育ちやすい環境を作ってあげるだけです。

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