協生農法マニュアルを読み解く〜第1章総論「協生農法の原理」その4

はじめに

すずなり農園代表の松尾です。

協生農法のマニュアルの勉強をしています。

協生農法は、生物多様性を向上することにより、生態系機能を向上させ生態系サービスを享受する農法です。

生物多様性を向上するには、撹乱、ニッチ形成、食物連鎖を圃場に作り出す必要があります。このことにより、慣行農法で必要な、耕起、施肥、農薬は不要となります。

協生農法では、「生態遷移は上陸進化を模倣する」という考え方の基、1年生→多年生→つる性→低木→高木という生態遷移をさせながら、圃場の生物多様性を向上させていきます。

というのが、今までのまとめです。知能指数の高い農業を目指して頑張ります。

参照元:

協生農法マニュアル

野人エッセイす

総論

協生農法の原理〜11ページから

α多様性・β多様性・γ多様性

生物の多様性を向上させよ、と言われて頑張って多様性を上げているつもりでも、今どの程度の多様性になっているのか、ということを客観的に判断するのは難しいと思います。

そこで、多様性の評価をするための手法があります。

その手法の中の一つが、α多様性、β多様性、γ多様性です。

α多様性とは、とある生態系の中の一部の多様性のことで、マニュアルでは、一つの植生段階における種多様性と書いてあります。例えば、圃場の一年生の植物の種がどのくらいあるのか、というのがα多様性です。

単位面積当たりの多様性のことも、α多様性と言います。例えば1m × 1m の範囲にどのくらいの種が存在するかということです。

βは一旦飛ばして、γ多様性ですが、これは、とある生態系の中の全体の多様性のことを言います。

マニュアルでは、すべての植生段階における種の多様性と書いてあります。圃場全体に、どの植生かにかかわらず、どの程度の種が存在しているかです。

例えば、同じγ多様性の状態で、α多様性が高い植生があった場合は、その植生に種が偏った状態となっています。

β多様性は、植生が遷移していく際の種組成の違いを表しています。マニュアルでは、二つの植生段階の差異と書かれています。

α、β、γ多様性には、以下のような関係があります。

γ = α × β

つまり、γ多様性が同じ場合は、α多様性が小さい方がβ多様性が高くなります。

これは、各植生段階それぞれの多様性が高い方が、β多様性は高くなるということです。

β多様性は、全体のバランスを見ることができる評価値ですね。

なので、これら3つの多様性が向上するように、圃場の多様性をマネージメントすることにより、最大限の生物多様性を向上することができます。

部分的な植生の多様性だけでなく、全体を見ながら、包括的に生物多様性を上げていく必要があります。

まとめ

生物多様性を向上させるとき、その多様性性を評価する手法が必要で、その一つに、α多様性、β多様性、γ多様性という指標があります。

色々な植生段階の植物が圃場に増えるように管理していくことで、生物多様性が向上できます。

畑に生えている植物をつぶさに観察し、現在の多様性がどの段階か、そして、どこに向かわせるべきかを考えなければいけません。

そうすることで生態系機能の向上や生態系サービスの享受が可能となります。

生態遷移は上陸進化を模倣するということを心に刻み付け、マネジメントしたいものです。

「1−2 協生農法の原理」は今回で終了です。次回からは、「1−3 生産性」について勉強を進めたいと思います。

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