はじめに
すずなり農園代表の松尾です。
協生農法マニュアルの勉強をしています。
協生農法は、生物多様性の向上ということが肝になっています。
生物多様性とは、圃場の動植物がどのくらいの種類で構成されているかということです。
圃場の生物多様性が向上すると、そこに生態系が生まれます。その生態系を、有用植物が有利になるようにマネージメントしていくのが、協生農法です。
生物多様性が向上すると、生態系機能が向上し、生態系サービスを享受することができるようになります。
向上はシグモイド曲線に沿って向上し、安定して初めて協生農法が完成し、生産物を収穫することができるようになります。
今回からはその生産性についてです。
参照元:協性農法マニュアル
生産性 13ページから
生産性の計算
通常の慣行農法では1種類の作物を大量に作るので、生産性の計算は簡単です。
畑の広さがわかれば、そこで育てられる数がわかるため、その年の気温や天候に左右されますが、平均収量は一定の値に収束します。
慣行農法での収量は正規分布に基づくため、現在普及している、スーパーでの袋売りにとても適した農法となっています。
単一品種の収量が安定しているため、品目ごとの受注計画が立てやすく、さらに、F1種のため形も揃っており、本数を揃えて袋詰めし、店頭に並べるだけで、同一値段で売ることができます。
対して、協生農法では、環境条件と植物種によって生産性が変化します。
常に栽培状況と作物群が変化し、単一種の収量の平均は変動するため、指標としての意味をなしません。
協生農法では、混成を基本とするため、全体の収量による生産性を評価する必要があります。
例えば、葉野菜は生産性が最も高くなりますが、白菜やキャベツなど、栽培期間に比べて場所を取る作物は生産性が低くなります。
収量はべき乗分布となります。少量の収穫を多種で得ることができますが、大量のまとまった収穫を得られることは稀となります。
協生農法では、生物多様性を向上させるよう管理するため、同一種としては少量ずつ、それが全体として多量に収穫できます。
野菜マルチ
簡単に言うと、ちょっとずついろんなものがいっぱい採れますよ!ってことです。
協生農法では葉野菜などをマルチとして用います。普通はビニールなどでマルチしたり、自然農法でも雑草を刈って、それを畝の上に置いてマルチにしたりすると思います。
協生農法では(一部の自然農法でもどうようとおもいますが)、葉野菜や豆類をマルチとして使います。それらを混成させることにより、多様性も向上するし、収量も上がるという、一石二鳥戦略です。野人エッセイすでは下記の記事で草マルチの説明があります。
そのため協生農法では、積極的に種を蒔きます。この辺りは後ほど出てくると思います。1−7で説明されている時空の種理論にもつながります。
べき乗分布
べき乗分布は、自然界ではよくみられる分布だそうです。マニュアルでは地震が例として記述されています。
小さな地震は頻発しますが、大きな地震は滅多に起きません。同様に、小さな収量は多種において得られますが、同一品種での大きな収量は滅多にありません。
べき乗分布とは、ある観測値Yが別の観測値Xのべき乗に比例すると言う法則です。式で書くと、下記のようになります。
Y = aX^k
ここで、ハットはべき乗を表してます。
日本の市町村区の、人口なんかもべき乗分布に従います。人口の多い市町村区は少なく、人口の少ないところがいっぱいあります。他にも株式の収益率などもべき乗分布に従います。
べき乗則の性質として、スケール不変性(フラクタル性)というものがあります。フラクタルでは、下記のコッホ曲線が有名ですね。
スケール不変生とは、どのスケール(尺度)で切り取っても同じような状況が見えるということです。
収量の例でいくと、収穫の量が減ったり増えたりした場合でも全体としてべき乗分布に従うということです。常にべき乗分布は保たれます。
歴史もべき乗則で動いているそうです。ご興味のある方は読んでみてください。
株式投資のように
強制農法では、株式投資のように他種の作物のポートフォリオで管理する、という記述があります。
株をやらない人には聞きなれないポートフォリオという言葉ですが、金融界隈でのポートフォリオとは、金融商品の組み合わせのことです。
ポートフォリオを組むとは、どのような投資信託を購入するか、株は何株持つかなどを詳細に検討することです。
前述した通り、株式の収益率はべき乗分布に従います。つまり、同じべき乗分布に従う協生農法の生産性もポートフォリオ管理が可能であるということです。
ポートフォリオを組む際はまず、アセットアロケーションを行います。アセットアロケーションは、まず大まかな資産配分をすることです。
資産状況やリスク許容度、運用目的に応じてまず、同じような特徴を持つ商品のグループである資産(アセット)を配分します。
そのアセットアロケーションをもとに、詳細な商品にまで具体化して組み合わせを決めることで、ポートフォリオを組んでいきます。
株式では収益率を最大化するように、協生農法では生産性を最大化するようにポートフォリオを組んで管理していけば良いということです。
よくこんなことに気づくなあと感心します。
生産性がべき乗分布に基づくよう、生産するもののポートフォリオを計画します。そうすることで最大の生産性とすることができます。
まとめ
協生農法の生産性は、べき乗分布に従います。どのようなスケールであったとしても、べき乗分布のスケール不変性という特性により常にそれに従います。
べき乗分布に従うということは、株式投資などで実施されるポートフォリオ管理が可能ということです。アセットアロケーションを行なった上で詳細なポートフォリオの組み合わせを考え、それを生産することにより、協性農法での最大の生産性を得ることができます。
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