こんにちは、すずなり農園代表の松尾です。
自己紹介
パソコンと僕
普段はAIエンジニアとして九州のIT企業で働いています。
26歳からおおよそ22年間、コンピュータ業界で働いてきました。
初めてパソコンを買ってもらったのは13歳の頃だったので、かれこれ35年間、パソコンと共に暮らしてきました。
買ってもらったパソコンは、今でも界隈では伝説となっている名機、NECのPC-8801MK2SRです。
当時は、パソコンはとても高価で(本体のみで258,000円)、ほとんどの人は持っていない時代でした。当時の初任給は13万5800円くらいらしいので、今とは物価が違いますね。今の物価だと50万円しないくらいですかね。
小学生の頃初めて友達の家でパソコンを見た時の衝撃は、今でも忘れられません。PC-8001というそのパソコンは、カセットテープにゲームのプログラムが書き込まれていて、ピーガガガーとかいう音が数分なり続けたあと、風船を撃ち落とす、という今となっては至極単純なゲームが遊べるというものでした。懐かしいなぁ。赤い風船だったのははっきり覚えてます。
しかし、小学生の僕にとって、魔法の箱にも見えたそのパソコン。その時から、パソコンのことで頭がいっぱいになりました。
もちろん、当時の僕に、そんなもの買うお金もなく、新聞のチラシのパソコンの広告を切り抜いてスクラップをして、それをニヤニヤ眺めたりしていました。
そんな僕を不憫に思ったのか、父がパソコンを買ってくれました。そのことは、今でもものすごく感謝しています。
プログラマとして
大学を中退して選んだ職業がプログラマだったのは、人生の必然の流れだったと思います。
C++という言語が、社会人として最初に扱った言語でした。
オブジェクト志向で設計されているC++。この、オブジェクト志向という、何とも言えぬカッコいい響きに惹かれ、意味なくオブジェクト志向的には、みたいなフレーズを多用していました。
いまだにオブジェクト志向が、きちんと理解できているのか心配になりますが。デザインパターンとかいうフレーズも多用してたなぁ。こういう、厨二心をくすぐるフレーズに禿げしく反応してしまうお年頃だった。
この本は、当時の愛読書のMore Effective C++。C++のアドバンスな書き方が詳しく載っている本です。現在、アマゾンでは24円で売ってました。。
ひたすらプログラムに明け暮れる日々が続きました。言語もいろんな言語を経験しました。今では20種類以上の言語でプログラムすることができます。
仕事している感覚など全くなく、ずっとパソコンで遊んでいる感覚です。なんでこんなに遊んでて、お金もらえるんやろ、と、いつも思ってました。それは今でも思っています。
AIとの出会い
さまざまな言語で、いろんなプログラムを作って遊んでいたある日、ふと、ニューラルネットワークという言葉が耳に止まりました。
今から5年ほど前、今思えば、ディープマインド社のアルファ碁が、人間最強の棋士に勝利したというニュースが世界を駆け巡っていた頃だと思います。
ニューラルネットワークという、何とも言えぬかっこいい響きに一目惚れした僕は、AIの勉強を始めました。
こう考えると、僕はいつも一目惚れしてます。奥さんにも一目惚れでした笑
とりあえず、本を買いました。その時は何気に選んだのですか、今となってはディープラーニング界のバイブルとなっているゼロつくシリーズ第一弾!
さっそく本を読んで勉強を始めて、最初のニューロンがどうのみたいなところは順調だったんですが、誤差逆伝播法あたりで、よくからなくなり、一旦挫折しました。
しかし、バックプロパゲーションというかっこいい響きに、もう一度チャレンジしてみようという気がふつふつと湧いてきて、なんとか理解できるようになりました。
AIをやるためにはGPU付きのマシンを買わねばならぬ。ということで、奥様に頼み込んで、ツクモ電気のG-GEARというゲーミングパソコンを買いました。こいつも最初に買ってもらったパソコンと同じ、25万円くらい。大人なので自分で買えました。
会社でもAIの必要性を訴えていましたが、なんのAIバックボーンもなかったので、ただのAI大好きおじさんの戯言みたいになってたと思います。
それならば資格を取ろう、ということで、ディープラーニングの最高峰資格と呼ばれる、日本ディープラーニング協会E資格の言うのにチャレンジすることにしました。
会社のお金で20万円の研修を受けさせてもらい、クリスマスも勉強してなんとか合格しました。これで、AI大好きおじさんから、AI資格おじさんに昇格しました。
野菜作りとの出会い
AIの案件をこなしていると、結構な確率で第一次産業とAIを組み合わせよう、みたいなのが出てきます。
その中で、興味を惹かれたのが、スマート農業てす。ドローンを使った空撮映像をAIで判定し、生育状況を確認したり、トマトをAIで画像解析し、水やりのタイミングをレコメンドしたり。
そんな時、妻から、市民農園を借りて野菜作りがしてみたい、と言われました。
スマート農業をやるには、まず自ら農作業をし、どこをAIで効率化できるかの勘所を醸成する必要があるのではないか。
そう思った僕は、妻の提案に乗り、市民農園を借りることにしました。
市民農園を使えるようになるまでひと月ほどあったので、野菜作りについて色々と調べていました。
畑耕して肥料入れて種や苗を植えて、成長したらとって食べてまた耕して、という繰り返しだと、なんとなくぼんやり考えていました。
我が家の家系には農家がおらず、1度も農作業したことがありませんでしたので、野菜がどう育つのかさえ知りません。インターネットて色々と調べ始めした。
自然農法
自然農法!?
色々と調べていくうちに、とても興味を惹かれる記事を見つけました。
そこには、雑草が堆肥になるということが書かれていました。
今となってはそれは、界隈では有名な、菌ちゃんふぁーむの吉田俊道さんの取材記事でした。
そこには、無農薬有機農法では通常5年かかる土づくりが、2ヶ月で可能だということと、糸状菌という菌が植物の根とくっついて、根の代わりをする、などということが書いてありました。
もともと、理科大好きの完全理系人間なので、こういう実験めいた話が大好きです。
いやあ、野菜作りって、面白いんじゃないのかと直観した瞬間でした。
で、さらに色々と調べていると、無農薬、無肥料、無耕起という、肥料も農薬も要らず、耕してはいけないという、一般常識を覆す野菜の作り方があることを知りました。
いわゆる、自然農法です。
虫を殺さない
とりあえず本を買ってみようと、Amazonで探していると、一冊の本が目に止まりました。
岡本よりたかさん著の「無肥料栽培を実現する本」です。
この本は、野菜が育つための科学的な解説が詳しく書いてあり、アンモニア体窒素や硝酸体窒素、リン酸、カリウム、マグネシウムなどが、どのように野菜の成長に関わっているかがわかりやすく解説されています。
また、生えている草で、畑の状態がわかり、抜かなくていい草や、セイタカアワダチソウのようにアレロパシーを出して他の草の成長を阻むので抜いたほうがいいことなどが書かれています。
その中で、1番衝撃を受けたこと、それは、虫と野菜が共生関係にあるというくだりです。
キャベツは、地面近くに葉を広げ、虫に葉を食べさせそのフンを栄養にし、アブラムシは摘心をしている。
野菜作りって、虫との戦いだと思っていたので、この話は本当にびっくりしました。
もともと昆虫が好きなので、虫と一緒に野菜を育てられる、しかも、害虫と言われている虫が、実は野菜作りの重要なアクターであったということは、とても嬉しいことでした。
立ち上げたばかりの畑って、なんの容赦もなく虫が野菜を食べまくって、レースみたいになります。でもそれは、土が良くなるための必要条件であり、自然農法家には、必ず通らなければならない試練のようなものだと思います。
市民農園の他の皆さまは、レースみたいになった僕の白菜を、可哀想な目で見てましたが、僕は、土が良くなってるんだと喜ばしい目で見てました。
おそらく、このギャップを埋めていかないといけない。市民農園のおじさん達は、虫を取っては地面に投げ、足で踏み潰すということを繰り返しています。
思うのは、虫を殺してまで趣味で野菜を作らねばならないのかということです。
一寸の虫にも五分の魂、命を大切になど、小さい頃から教えられてきた、人間としての基本的なことが、畑の上では完全に忘れ去られ、当然のように殺戮が繰り返されています。
虫を活かす
虫は、肥料で無理やり肥大化された野菜から出される匂いに寄ってきて、食べたり卵を産んだり、弱った野菜に寄ってきて食べたりするそうです。
レースだらけになっている白菜の横で、自然の草、例えばハコベなどは、全く虫食いされずに育っています。野菜がハコベ状態になればよいのではないかと考えたりもします。
僕は虫を一匹も殺さない。虫を活かした農法を、自分なりに確立するぞ、と、心に決めました。
今の慣行農法での、農薬を使った殺虫を批判するつもりはありません。今現在の野菜の流通や、世の中の常識を考えると、致し方ないと思います。
批判することなく、みんなが虫の大切さに気づき、虫と共に野菜を作るという農法が自然に広がればいいなと考えてます。
それにはまず、自らがその証明をしていかないといけません。今は、頭で理解しているだけなので、実践をしていこう。壮大な実証実験の開始です!
虫ちゃん草ちゃん農法
ということで、今から自分が考え出す農法の名前を色々と考えてます。
かっこよくて直感的な名前がいいなといろいろ考えて、妻に提案してみるのですが、必ず却下されます。
「虫ちゃん草ちゃん農法」も、だめでした。
野人のムーさんの「協生農法」とか、かっこいいですよねー。さすがは船橋博士だなぁと思います。
そんなこんなで、虫や草を活かすという自然農法的な、自分なりの農法を確立し、野菜づくりの成功を持って世界に広めて行きたいと考える今日このごろです。
これは、パソコンに没頭してたらいつのまにか野菜作りを始めてしまった男の、成功までの軌跡を書き記したブログである。
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